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2016年08月8日

認知症の予防 食事編その1:脂質

私たちは、常に体内で起きている化学反応によって生命活動を維持しています。化学反応とは、「AとBを合成するとCができ、CとDが反応してEができる」という一連の流れであり、同じ条件で行えば、必ずEができます。したがって、もし最初の物質が「A」ではなく「X」になると、最終的にできるものはEと異なるものになります。食事は体内へ物質を取り入れ、化学反応を起こすために行なっている日々の営みです。ゆえに、どんな食事をするかによってその後に体の中で引き起こされる化学反応も変化してきます。例えば、炭水化物しかとらない場合と、脂質しかとらない場合。どちらもエネルギーになるという点では同じですが、そこに至るまでの化学反応は異なります。このような違いが長年積み重ねれば、寿命の長さや病気のなりやすさにも違いが出てくるだろうということは容易に推測できるのではないでしょうか。

では、どんな栄養をどのように取れば認知症になりにくいのでしょう。まず三大栄養素である脂質から考えてみましょう。脂質は、大きく分けると飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の2種類になります。飽和脂肪酸は、おもに牛脂や豚脂、乳製品などの動物性の脂肪に多く含まれています。常温で固形となり血液をドロドロにしやすいため、摂取過剰になると動脈硬化や脳卒中を引き起こす可能性が高くなります・・・というのが一昔前までの飽和脂肪酸に対する考え方。飽和脂肪酸は、厳密に言うと何個の炭素原子が含まれているかによって3つに分類することができます。さらに、その個数によってそれぞれ異なる性質を持つことがわかってきました。炭素数が多い順に言うと、16個から18個の炭素が含まれるものを長鎖脂肪酸といいます。これが先ほど述べた動物性脂肪に多く含まれている、いわゆる飽和脂肪酸であり、食べ過ぎると体内に蓄積されて太る原因になります。

そして、炭素数12個から14個の中鎖脂肪酸。これはココナッツオイルやパームオイル、母乳などに多く含まれている飽和脂肪酸です。この脂肪酸は長鎖脂肪酸と異なり、消化されて体内に入るとすぐにエネルギーに変換されるという性質があります。このため、体にたまりにくい・太りにくい油です。さらに、中鎖脂肪酸が代謝されてできるケトン体という物質は、ブドウ糖とともに脳のエネルギー源となるものです。アルツハイマー病では、早期から脳におけるブドウ糖の利用が障害されるため、いわばガス欠のような状態になっています。一方、ケトン体の利用は障害されないため、中鎖脂肪酸を摂取してケトン体が合成されることによって脳にエネルギーが補給されて機能が回復することが期待できます。また、ケトン体は老化を抑制するメカニズムのスイッチにもなっており、中鎖脂肪酸を日常的に摂取することにより、抗老化効果も得られるのではないかと考えられています。

そして、炭素数が2個から6個のものが短鎖脂肪酸です。炭素数が2個のものは酢酸、いわゆるお酢です。炭素数4個の酪酸、6個のカプロン酸はバターに多く含まれています。短鎖脂肪酸はこのような食品から摂取できるほか、短鎖脂肪酸は、ヒトの大腸において腸内細菌が食物繊維やオリゴ糖を発酵することにより生成されます。生成された短鎖脂肪酸の多くは大腸の粘膜から吸収され、腸上皮細胞の増殖や粘液分泌、水やミネラル吸収のためのエネルギー源として利用されます。また、一部は肝臓や筋肉、腎臓などの組織でエネルギー源や脂肪を合成する材料としても利用されます。その他、短鎖脂肪酸には腸内を弱酸性の環境に保って悪玉菌の増殖を抑制する、大腸の粘膜を刺激して蠕動運動を促進する、免疫反応を制御するなどの作用があり、今もっとも注目されている脂肪です。

不飽和脂肪酸にはコーン油やベニバナ油、肉類に多く含まれるオメガ6系不飽和脂肪酸と、えごま油、亜麻仁油、魚油に多く含まれるオメガ3系不飽和脂肪酸、そしてオリーブオイルに多い一価不飽和脂肪酸などがあります。オメガ3系不飽和脂肪酸とオメガ6系不飽和脂肪酸はどちらも私たちの体に必要な必須脂肪酸ですが、オメガ6系の取りすぎは体内に炎症反応を起こしやすくします。特に、オメガ6系不飽和脂肪酸の一つで、肉に多く含まれるアラキドン酸は、脳の炎症や血栓形成を促進する物質の材料になってしまいます。脳の炎症は認知症の発症しやすさにも関連していると考えられていることから、オメガ6系不飽和脂肪酸を含む食品を必要以上に取ることは避けたほうが良いでしょう。日本人の食生活に肉類の割合が増えるにともない、オメガ6系不飽和脂肪酸の摂取量が多くなっていますので、自ら積極的に取る必要はありません。ちなみに、オメガ3系とオメガ6系の理想的な摂取比率は1:1から1:4であると言われています。

オメガ3系不飽和脂肪酸にはシソ油・えごま油などに多いリノレン酸と魚油に豊富なDHA、EPAがあります。オメガ3系は脂質の代謝を改善し、炎症を抑制し、血液をサラサラにする他、特にDHAは認知機能を改善する、アルツハイマー病の原因物質であるアミロイドβタンパクの沈着量を減らすなどの報告もあり、認知症予防には欠かせない脂質です。

たとえばフランスの8,085名の高齢者を対象にした調査では、毎週魚を食べている人は、そうでない人に比べてアルツハイマー病のリスクが0.65、つまり約2/3に低下することが示されています(1)。また、平均年齢76歳の高齢者、899名を9年間観察した研究では、血中DHA濃度の高い群で認知症のリスクが0.53と約半分に減っていました(4)。ただし、DHAとEPAのサプリメントの摂取では認知症予防効果がなかったという報告があったことから、DHA・EPAに関してはできるだけ魚そのものから摂取したほうがよさそうです(2)。一方、カツオやマグロなどの大型の魚には、脳に有害な影響を及ぼすメチル水銀が含まれています。イワシやサバなどの小型魚を中心に食べましょう。ただし、DHAを含め不飽和脂肪酸は加熱すると酸化しやすいのが弱点です。その効果を最大限に利用するため、揚げたり炒めたりしないで調理することをお勧めします。

オリーブオイルに含まれている一価不飽和脂肪酸であるオレイン酸は、コレステロールを下げる、動脈硬化や心疾患を予防するなどの効果があります。さらに、エキストラバージンオリーブオイルにはオレオカンタールと呼ばれる成分が含まれており、その強い抗炎症作用によってアルツハイマー病における脳の炎症を抑制する効果があることが明らかにされています。

実際、オリーブオイルを日常的に摂取する地中海食は認知症のリスクを下げることが多くの研究で明らかになっています(3)。地中海食はギリシャのクレタ島における1960年代頃の食事がモデルとなっており、野菜、豆、果物、穀物、オリーブ油、チーズやヨーグルト、赤ワインを毎日、魚は毎週摂取するという食事内容となっています。

参考文献

  1. 1. Barberger-Gateau P, Raffaitin C, Letenneur L, Berr C, Tzourio C, Dartigues JF, Alpérovitch A. Dietary patterns and risk of dementia: the Three-City cohort study. Neurology 69: 1921–1930, 2007.
  2. 2. Dangour AD, Allen E, Elbourne D, Fasey N, Fletcher AE, Hardy P, Holder GE, Knight R, Letley L, Richards M, Uauy R. Effect of 2-y n-3 long-chain polyunsaturated fatty acid supplementation on cognitive function in older people: a randomized, double-blind, controlled trial. American Journal of Clinical Nutrition 91: 1725–1732, 2010.
  3. 3. Scarmeas N, Stern Y, Mayeux R, Luchsinger JA. Mediterranean Diet, Alzheimer Disease, and Vascular Mediation. Arch Neurol 63: 1709, 2006.
  4. 4. Schaefer EJ, Bongard V, Beiser AS, Lamon-Fava S, Robins SJ, Au R, Tucker KL, Kyle DJ, Wilson PWF, Wolf PA. Plasma phosphatidylcholine docosahexaenoic acid content and risk of dementia and Alzheimer disease: the Framingham Heart Study. Arch Neurol 63: 1545–1550, 2006.

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