後頭葉の機能低下を疑う症状 | ブレインケアクリニック

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2017年08月29日  2017年11月16日

後頭葉の機能低下を疑う症状

頭頂後頭溝により頭頂葉と区分され、視覚の中枢および視覚の認識に関する中枢がある。

片側の障害では同名半盲(両眼の同じ側が見えなくなること)が、両側の障害では盲となり、視覚連合野の損傷では視覚対象の意味理解が困難となる。

後頭葉の内側面の障害では、視覚失認、相貌失認、地誌的障害、純粋失読を、外側面の障害では変形視を来すことがある。

 

■Anton症候群

見えていないにもかかわらず、あたかも見えているようにふるまうことが特徴である。

 

■失認症

その感覚系に末梢神経レベルでは異常がないにもかかわらず、ある特定の感覚系で知覚した対象を認知できないが、そのほかの感覚系を介すると認識できる病態。簡単に言えば、存在を知覚しているのに、認識できないという状態である。

 

①視覚失認

視力、視野が保たれているのに、物品、物品の絵が目の前に提示されても呼称ができない。しかし、触覚、聴覚などの手がかりがあれば、その物の名前をいうことができる。

具体的には、目の前にあるりんごを「りんご」とは「答えられない」が、りんごを持つと「りんご」と答えられるなど。

②相貌失認

よく知っているはずの顔が誰の顔であるかを認識できないが、その人の声を聞けば誰であるかがわかる病態。病巣は両側性または右側頭後頭葉の内側面が考えられている。両側後頭葉または、右後頭葉~側頭葉の病変で生じる。

③同時失認

対称部分は正しく認識できるが、それぞれのつながりを全体像として認識できない病態。

具体的には、演奏会の写真を見て、笛や太鼓などそれぞれは認識できるが、全体として演奏会のシーンであることが認識しにくいなど。両側の側頭葉~後頭葉の病変で生じる。

④色彩失認

色が認識できず、色の名称が答えられない、色の分類ができないなどの病態。左後頭葉病変で生じる。

■地誌的障害

地理や場所に関する障害で、熟知している場所で迷ってしまう。また自宅の見取り図や近所の地図が描けないなどの症状をきたす。右頭頂葉~側頭葉~後頭葉内側部などの病変で生じる。

■純粋失読

音読と読解以外の障害はなく、自発発話、自発書字、復唱、書き取りは保たれている。しかし文字は書けるが、自分が書いた文字が読めない。しかし指で文字をなぞると読める。左後頭葉内側面から脳梁膨大部の病変で生じる。

■変形視

見ている対象物が歪んで見えたり、大きくまたは小さく見えたりする症状。歪んで見える対象として多いものは、顔面、特に目や手のような身体部分であり、実際より対象者が老けて見えることや、顔半分が溶けて見えたり、小さく見えるなどと多様である。脳梁後方の小病巣、頭頂葉、側頭葉や後頭葉付近での病変で生じる。

■Balint症候群

精神性注視麻痺、視覚性注意障害、視覚性運動失調の3つの兆候からなる。両側の頭頂後頭葉の病変で生じる。

■視覚性異所感覚・視覚保続

一側同名視野に生じた視覚刺激が、反対側の同名視野に転移、出現する。またこのときに、実像が取り除かれたあとでも、転移した像が持続的に出現する。視野障害に合併することが多い。発症機序は不明な点が多いが、てんかん発作に伴って一過性に生じていることが多い。右側頭後頭葉付近の病変で生じる。

 

参考文献:脳解剖から学べる高次脳機能障害リハビリテーション入門 改訂第2版 診断と治療社

 

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