2018年10月31日 2018年10月31日
リコード法を実施した100人のケースレポート(論文紹介)
つい先日、リコード法を実施してなんらかの症状改善を認めた100名のケースレポートが発表されました。
Bredesen, D. E. (2018). Reversal of Cognitive Decline: 100 Patients
下は50歳から上は91歳まで、100名のデータが一覧となって表になっているのは圧巻です。
まずざっと目を通して感じたのは、認知機能の評価方法が思っていたより多様であるということです。MCI(軽度認知障害)のスクリーニングに使われることが多いMoCAで評価しているケースが多いですが、一般的な認知症スクリーニング検査として用いられるMMSE、CNS-VS のほか、SLUMS(St. Louis University Mental Status Exam)、MSQ(Mental Symptoms Questionnaire)、cog flexなどなじみのない検査もありました。海馬の容積で評価しているケースが1件。海馬の容積が17→75パーセンタイルまで回復したというのは驚きでした。
リコード法ではAPOE遺伝子を重視します。APOEの4型があるとアルツハイマー病になるリスクが上がり、ココナッツオイルを積極的に使わない方が良いなど食事の仕方を変えないといけないからですが、データがない人が20名いました。
患者さんの内訳は、SCI(主観的認知障害)6名、MCI(軽度認知障害)35名、アルツハイマー病(AD)60名。(MCIとADが重複している人が1名いたので、計101名となってます)。
画像検査は以下の通り。
- アミロイドPET 6名
- FDG-PET 14名
- MRI 26名
- CT 2名
- 検査名が不明だが海馬萎縮を認めた者 5名
その他の検査として、脳脊髄液検査が8名、qEEG 9名。記載のないものが
28名いました。
MoCA, MMSE, SLUMS でビフォーアフターを評価された人は100名中72名。平均の改善スコアは4.9点。 最もスコアを上げた人はMoCAで12点改善した97番の63歳男性、APOE 3/4, ADの方。アルツハイマー病になりやすいAPOE4型があってもこれだけ回復し、仕事に戻れたという報告は大変希望が持てます。
ただ、なぜ論文を公開しているのがOMIXのサイトなのか不思議です。OMIXは「ハゲタカ出版社」と言われており、いろいろ問題を起こしているところのようなのです。もっと信頼性の高いところで出された方が良かったのではないかと思いますが・・・。Journal of Alzheimer’s Disease & Parkinsonismには問題ないという判断なのでしょうか。
なお、当院では認知機能検査としてMMSEとコグニトラックス(論文内ではCNS-VS と表記されているもの)をしています。私が今年の3月にリコード法の認定を取ってから、当院で認知機能検査を複数回実施して経過を追えている患者さんは10名いらっしゃいますが、うち9名でスコアが上昇していました。最も改善した方ではMMSEが4点上がっています。この論文を参考にして引き続き検査・治療の内容を最適化し、治療効果を上げていきたいと思います。
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